ワルのぽけっと
- 作者: 灰谷健次郎
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1998/05
- メディア: 文庫
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表紙をめくった1ページ目。目次の前のあのページをなんて呼ぶのだろう。とにかく、あのページに大きな文字で書かれている、本文中の一節を読んで、ノボルは「あれに似てるね。『マコチンとマコタン』。」と言った。
おおぅ!わかるのか!
同じ灰谷健次郎さんの書いたものだよ。
いや、まあ、大阪の悪ガキの言葉なんて、この人の本でなきゃ知らないか…。
それにしても、この人の作品には、いつもいつも問いを突きつけられる。
「貧乏は悪いのか」「この8人は本当にワルか」「金持ちは悪いのか」「人間の良し悪しを決めるのは何か」
もし、訊かれても答えられない。
さて、ノボルはそんな質問を発するだろうか?
ところで、「貧しさ」を知らない今の子たちに、この話がどれ程わかるだろう。
均質で程ほどに豊かな近郊住宅街に暮らすノボルには、セイゾウたち8人の「貧しさ」をどの程度リアリティを持って想像することができるのだろうか。
ロールプレイングゲームで訪れる「魔法の国」くらいに、「貧乏の国」は想像の領域なのではないだろうか。
こんな本を読むと、うちの実家が貧しくて良かったな、と思うのだ。
ノボルも恐らくいつか気づくだろう。父親の実家と、母親の実家の様子が違うということに。
そして、それは経済的格差だということに。
気づいたとき、もう大阪には行かないと言い出すだろうか。
そのときに、『ワルのぽけっと』のことをふと思い出すだろうか。
貧しさは汚らわしいことではない。
セイゾウやアカンタレのような友達を心の中に持っていてくれれば、将来出会う様々な現実を、真直ぐな眼で見られるようになってくれるだろう。
と、ほんのり期待してみる。
ところで、灰谷健次郎の本を読むときに、自分がネイティブ大阪弁を話せて良かったと、いつも思う。
今日、読んでいる途中で寝てしまったので、続きは後日。
「ツーツーレロレロ」やら「あーしんど」やら、おもろい仇名に大受けのノボル。
喧嘩の場面も大笑い。
それでも、椛島先生とのからみあたりは、息を詰めた感じで聞いている。子どもっていうのは、やっぱり凄いな。
ノボルは、むしろオサム的立場の子だと思うけれど。どーゆー思いでこの話を聞くのだろう。